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梅田 愛生
米粉の食べ物に目がないフリーライター。東京出身。「街並みが好き」という理由で過去2年間、職場から1時間以上離れた横浜でひとり暮らしをしていた。小麦粉によるアレルギー反応を起こした経験があり、食生活は基本グルテンフリー。
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金曜日。あいにくの雨だけど足取りは軽い。久しぶりに、好きなお店へごはんを食べに行くからだ。
みなとみらいの賑わいを背に、JR桜木町の西口方面へ。飲み屋のならぶ野毛を抜けて都橋を渡ると、目の前に続くのは大きな壁画が目印の吉田町だ。画廊の多いアートスポットであり、夜には隠れ家的なバーがあちこちで開く。
そんな通りを進んでいくとオレンジの灯りがもれる「Ω-CAFE」が見えてきた。


近所に住んでいた頃、しょっちゅう来ていたお店。米粉を使ったグルテンフリーメニューが豊富で、小麦アレルギーの私もここならみんなと一緒にピザやパスタを食べられる。
でも今日のお目当ては、未体験の新メニューだ。
ボリューミーなのに後味軽やか!グルテンフリーのチキンバーガー
ジュウジュウと油の泡立つ音に胸を高鳴らせること数分、登場したのは「玄米バンズのチキンバーガー(1,480円)」。

で、でかい!これはせっかくなので、豪快にかぶりついちゃおう。

香ばしい玄米バンズに食べ応えのあるフライドチキン。この「がっつり食べてる」感、テンションあがる!
ポテトもついてボリューミーだけど、不思議とそこまで重くない。その秘訣はチキンにある。むね肉のさっぱり感とからっとした衣の軽さでぱくぱく食べられてしまう。
田舎の自然と食文化を守りたい
このバンズやチキンの衣をはじめ、Ω-CAFEの多くのメニューで福島県南会津産の米粉が使われている。食材へのこだわりは、店主大木さんのポリシーだ。

「母の実家が南会津で、少しでもその土地の役に立ちたくて。何ができるか考えて浮かんだのが、南会津で親戚がつくっているお米の活用でした」
中学生の時。大規模な道路工事によって、毎年遊びに行っていた南会津の風景が変化したことを受け、その土地ならではの自然を守りたいという気持ちが芽生えはじめた。
20代のはじめには、料理人としてはたらくかたわら環境問題の啓発イベントを主催。そこで得たある気付きが、南会津の米粉の活用をより具体的に考えるきっかけになった。
「その時は海外で植林をしている団体に寄付させてもらったんですけど。寄付先を色々調べるうちに、『だったら日本の土地や環境を守るほうにお金を使ったほうが早いんじゃないか?』と思ったんです」
田舎の自然や文化を守ること、環境を守ること。Ω-CAFEは、大木さんの「なんとかしたい」が重なって生まれた場所だ。
ちなみに、店内で印象的なこの動物のアートも、自然に寄り添う気持ちが託されたもの。

よく見ると、角のように広がる模様はひび割れになっている。気候変動により枯渇した大地を表した、大木さんの知り合いのアーティストによる作品だ。

美味しさにこだわる自慢の米粉料理
Ω-CAFEでは農家で自社専用に米粉を製粉してもらっており、完全グルテンフリーの米粉生産を叶えている。
「南会津は水源が豊かで、日照もいい米どころ。そこで育ったお米を玄米のまま仕入れて精米・製粉してもらっています。大量精米だとお米も乾燥しやすいけど、うちのお米はそれがない。生産・製粉の段階で小麦が混入する心配がない点も、安心していただける点だと思います」
デザートでいただいた自家製アイスクリームのトッピングは、東白楽にある姉妹店「BAKE LAB」のクッキー。さくほろっとした口解けで、何度でも食べたくなる。
Ω-CAFEは今年で15周年。近所のみならず県外からのリピーターも増えている。わかるわかる、美味しいもん。わたしが深く頷くと、大木さんはニカッと笑顔になった。
「米粉に関しては、うちはかなりノウハウを持っていると思います!ただ米粉を使っていればいい、というわけじゃないですし。やっぱり、美味しくないと始まらないですから」
新たな美味しさを求めて、現在も新メニューを開発中とのこと。ああ、また食べに行かなくちゃ。
Ω-cafe
住所 横浜市中区吉田町6-1 第三共同ビル1F
営業時間 11:30~21:00
定休日 月曜日、火曜日
最新の営業情報はホームページにて
