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小林 璃代子
2000年生まれ、横浜育ち。 人と人がつながるきっかけや受け継がれるものに興味を持ち、冊子制作、イベント企画などをおこなう。高校時代に商店街の人びとに惚れこみ、ローカルフリーマガジン「いきな下町商店街」を制作。現在は実験的な場づくりや地域のアーカイブをおこなう学生団体「下町編集室OKASHI」の代表として横浜橋通商店街を拠点に横浜の下町の楽しみ方を発信している。吉田新田が好き。
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かな子さんの夢や好きがつまったこの空間。
場所は、みなとみらい・象の鼻パークに沿って建つ、築100年のレトロビル「海岸通壱番館」。
足音が繊細に響く階段を2階へのぼり、木製の扉を開けると
ほっこりする、いつもの雰囲気につつまれる。
開業は2017年4月。
「飲食店をやりたいと思っていたので、そのための勉強をしたり、バイトや仕事も選んでやっていました。もともとの出身は青葉区で、大学生のときに家族でこのあたりに引っ越してきました。地元でお店をやりたいと思い、この場所を見つけてお店を始めました」
「自分だけの、自分が自由にできる空間がほしかった。私が通っていた中学校の近くにある、雑貨も販売している飲食店に憧れていたので、カフェ&ショップというかたちで開業しました。食べることや料理も好きだし、好きなものも集めて売りたい。妹はアパレルが専門だったので、はじめはセレクトを担当してもらっていました」
カフェの名前「kaguya」は物語の『かぐや姫』から。
そしてそのきっかけは、2年半ベトナムでカフェをやっていたことに関係があるのだとか!
「障がいを持った方を雇用しているパン屋「スワンベーカリー」の元社長さんと父が知り合いで、コンセプトに感銘を受けて話が盛り上がって、ベトナムでスワンベーカリーをやりたいということに。やはり実現は難しかったのですが、店舗もスタッフも決めていたので、障がいのあるベトナム人を雇用して、私がカフェをやることになりました」
「「スワンベーカリー」は童話『みにくいアヒルの子』から名前をとっていて、障がいのある人の自立支援をしている企業です。日本に戻ってきてからも、障がいのある方を雇用することや、カフェを続けていく気持ちを途絶えさせない、自分の決意表明もあり物語からお店の名前をつけました。私にできて、やりたいお店のイメージに合うのが『かぐや姫』でした。長年茶道をやっていて、抹茶も提供したいと思っていたので、月とか竹とか、そういった要素が合うなと。そこはフィーリングですが(笑)」
コロナ禍があけた頃、kaguyaでも2年半ほど障がいのある方を雇用していた時期があったのだそう。
「実現はしたけど継続できなかったんです。雇用と売上を立てていくというのが難しくて、ちょうど働いていた方が辞めたタイミングで次の募集をせずに終わってしまいました。継続できなかったのが心残り。でも割り切って、カフェを続けていく方を選びました」
店内にはさまざまな雑貨もある。
どこか「自然由来」のもの、「顔が見える」ものが多い印象をうける。
「ベトナムで出会った女性が、敏感肌で向こうにある市販品だと生活できないということで、自ら石鹸づくりを始められたんです。立ち上げていった姿をみていてすごいなと思っていました。また環境に配慮すること、SDGsみたいなことをその頃からやっていたので影響をうけました。その石鹸はうちでも販売しています」
「いわゆる意識高い系ではないんです。ただ人と違うことがしたい。面白そうとか、そういった興味でやっています。環境への配慮はもう当たり前になっていますし、自分にできることはやりたいという感じです」
テイクアウト専用でときどき登場する、フルビーガンの「ビーガンボックス」もあるのだとか。
「異国の風習とか、文化が好きなんです。たとえば、仏教徒の多いベトナムでは新月と満月の日はお肉を食べないということを普通の人もやっています。そういう生活のリズムに関わってきました。面白いので、知ってもらえたらいいなと思って。定休日などで、毎回の新月と満月に合わせることはできないですが、ときおりビーガンボックスをつくっています」
これからやっていきたいことについて伺った。
「まずはこのお店を、自分が楽しめる場所にしたいと考えています。飲食店って、結構ハードだったり、稼げなかったり、やめてしまう人もいる。カフェを続けていきたいので、まずは自分がここで仕事するのが楽しい空間をつくって、その上でいろいろな人にきてもらったり使ってもらったりして、シェアできたらいいなと思っています」
「また、地域の子どもたちに茶道を体験してもらう企画を、夏には実行したいです。やったことある、くらいでもいいので」
すっかりお抹茶が飲みたくなり、
「抹茶ラテ」(700円・税込)と抹茶に合うとおすすめの「ダークチョコのガトーショコラ」(600円・税込)を注文。
抹茶ラテは、本格的な抹茶の苦味と甘味に、クリーミーさが加わり、王道なおいしさ。
抹茶は京都・宇治の契約農家から直接仕入れている。
ガトーショコラは濃厚でキュンとする甘さ。表面はサクッと、なかはしっとり。
コラボレーションがたまらない!!
「茶道は、総合芸術なんです。花道やお香なども関わってきて、極めるにはそっちもやらないといけない。カフェと茶道もリンクしています。食ということに限らず、精神の部分でも。現在も茶道そのものが仕事のような感じです。茶道は師範のひとつ下のレベルまではお免状をいただきました」
「ただ、最終的にはなんでもいいと思うんです。知識がなくてもいいし、ベストをつくせばそれでいい。季節を感じるものをしつらえることもそうだし、相手におもてなしをするということだから。相手のためにおこなうことは、飲食店そのものだと思います」
窓からは赤レンガ倉庫や港、山下臨港プロムナードがみえる。
そこには横浜の開港の歴史や文化がぎゅっとつまっている。
最後に地元「横浜」の好きなところについて伺った。
「中華街もあれば西洋文化も、発祥のものとかもあり、いろいろな文化が楽しめるところが横浜の好きなところです。野毛などの下町も、みなとみらいもあり、それぞれを大事にしているのもいいなと思います」
かな子さんの「好き」やこれまでの経験がつまった素敵な空間。
優しい笑顔に、こちらまで楽しく愉快な気持ちになる。
観光地からローカルな魅力まで、地元ならではの視点で
周辺のおすすめも教えてもらえるかもしれません。
ぜひ「cafe&shop kaguya」へ、訪れてみてください!
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cafe&shop kaguya
住所 〒231-0002 横浜市中区海岸通1-1 海岸通壱番館2F
営業時間 火/水/木 11:00~16:00 L.O. (16:30 close)
金/土 11:00~20:00 L.O. (21:00 close)
定休日 日曜日・月曜日
*定休日は、マタニティ・産後ケア・アロマトリートメントサロン「Luceルーチェ」さんがサロンをひらいています