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あらいきよてる
横浜に詳しいソーシャルデベロッパー。神奈川宿の丘の上で、住宅型複合施設「しぇあひるずヨコハマ」運営 。近年は空き物件や商店街の活性化など、横浜市内外のまちづくりや地域プロモーションにも関わる。週末カメラマン。二児の父でアニメ・サブカル好き。
同じライターの記事一覧横浜メディアビジネスセンターから少しハマスタ寄りに入ったところに、赤と青の鮮やかなネオンが光る、ギリシャ料理のお店があります。
その名も「OLYMPIA(オリンピア)」
今回ご紹介する藤原美木子さんは、ギリシャ料理&バー「オリンピア」の店長。
藤原さんのパートナーである、ジョージ・マルケジーニスさんは、「オリンピア」の他にも「アテネ」「ゾルバ」の3つのギリシャ料理店・バーのオーナーをしている元船乗りです。
普段は「ジョージ」さんと呼ばれていますが、ギリシャ語読みだと「ヨルゴス」さんとのこと。
スカンディヤとの意外なつながり
「オリンピア」は2005年にオープンしました。ここは元々、北欧料理で有名な「スカンディヤ」の系列のお店「ダンマルク」があった場所です。
「スカンディヤ」は、開港広場前にあるデンマーク国旗が目印の老舗レストラン(1963年オープン)ですが、ママさん(ご主人がデンマーク人のオーナー浜田さん)と仲が良かったこともあり、居抜きの店舗を引き継ぐことになったそう。
そのため、お店は内装を大きく変えつつも、レイアウトやペンダントライトなどは、「ダンマルク」当時のままです。
もちろん「ダンマルク」のお客さんがそのまま来店することもあります。
それにしても、あの「スカンディヤ」と繋がっていたとは、とてもビックリしました。
港町・横浜 1960年代~
かつての外国航路は、北欧系かギリシャ系の大きく2つに分かれていました。
コンテナ輸送になる前、船は港に着くと短くても1週間、修繕が入ると1か月くらいは停泊し、そのたびに船乗りたちは横浜の町へと繰り出しました。
ギリシャ人だけでも、毎日3000人以上が横浜を訪れていたようです。
ジョージさんが初めて横浜に寄港したのは1960年。
横浜の雰囲気(ギリシャ人が集まるバーや女性)が気に入って、その後何度も訪れました。
そして、1970年に船を下り、船乗り時代に貯めたお金でお店を出しました。
最初にバーを出したのは横浜でもディープなエリア「曙町」
「曙町」にあるバーと言えば、日本最年長バーテンダー石原さんの「アポロ」が思い浮かびますが、石原さんともその当時からの長い長い付き合いとのこと!
お店はほぼ100%ギリシャ人のお客さんでした。
港町・横浜 1980年代~
その後、ジョージさんは、さまざまなビジネスを展開しつつ、1985年、念願の中華街に「アテネ」をオープンします。中華街がある山下町もまた、外国人が集うバーがたくさんありました。
藤原さんは、どうしてギリシャ料理・バーを選んだのでしょうか。
「時給がいい、夜のお店で稼ぎたかったの。」
バブル真っ只中だった当時、たまたま就労時間や希望する条件が合って「アテネ」で仕事を始めたのが、最大の理由で、特にギリシャ料理が好きだったわけではなかったそうです。
藤原さんは、ジョージさんとそこで知り合い、徐々に親しくなりました。
そこから、30年来の付き合いになるというのは、本当に運命的な出会いですね。
ギリシャは第二の故郷
そんな藤原さん、ジョージさんと共に過ごすようになって、ギリシャが大好きになりました。
なかでも「ロドス島」はジョージさんの知り合いがいることもあって、毎年のように渡航しました。
(ジョージさんの生まれ故郷はギリシャ西部の「イオニア海」)
「シーフードがとにかく最高」
魚はとても新鮮ですが、刺身など生では食べず、丸ごと全部焼くのがギリシャ流とのこと。
「オリンピア」は、お店の中のインテリアがとても素敵ですが、絵画や装飾、小物類の多くは、「ロドス島」で買ってきたものです。渡航ごとにグッズは増えて、今では店中を賑わせています。
地球儀や「ブズキ」というギリシャの楽器の置物は特にユニークなので要チェック。
旅が好き
あるとき、クロアチア・ドブロブニクからギリシャへ帰る際、予定していた便がキャンセルになってしまうことがありました。
その時に思いついたのが何と「タクシー」!
飛行機は直前のチケットだと高額で、ルートも大回りになってしまうので、メリットなしと判断。
たまたま仲良くなっていたタクシー運転手に連絡を取り、国境を複数超えて、陸路でギリシャへ。
道中、情勢的に不安定なアルバニアなどの地域も通ったわけですが、
「とてもワクワクした。旅、冒険が好きなの。」
と満面の笑みでお話してくださいました。
ギリシャ料理へのこだわり
「バーだけど、食事メインかな。その方がギリシャ色が出しやすいから。」
タラモサラダは、最近日本でも割とメジャーになりつつありますが、元祖はギリシャ。
名物のフェタチーズも、山羊と羊のミルクの配合が厳格に決められているのです。
クセがないのにコクがあってサラダによく合います。
また、オリーブも「カラマタ産」のよい質のものを使っています。
お料理は結構ボリュームがあるので、2人以上での来店がお勧め。
何を食べようか迷ったら、ジャガイモ、ナス、ひき肉、ホワイトソースを使った家庭料理「ムサカ」を注文しましょう。味のバランスがよく、お腹いっぱいになりますよ!
ちょっと贅沢をしたいなら、ラムチャップも外せません。
オリーブオイルとワインとの相性は抜群です!
またアルコールメニューがとにかく豊富で、特にウィスキー好きには堪らない品揃えです。
比較的近所に住む70~80代の方がふらりと飲みにくるそう。
「The Bar Tenmar」 の斎藤天馬さんもお客さんの一人なのだとか。
オールドタウンフェチ
お料理とギリシャのワインを味わいつつ、藤原さんと旅の話をしながら出てきたキーワード
「わたしは、オールドタウンフェチなの。」
「人が生活しているまちが好き。その国で一番大きなまちじゃなく、二番目がいいかな。
ポルトガルの港町ポルトとか。」
だから、ギリシャでも古代遺跡には興味はないと断言します笑
藤原さんは、開店の17時からお店に立っていますが、ジョージさんは20時くらいにやってきて、カウンターの一番奥の席に座り、ゆっくりとギリシャのお酒を飲みます。
「ヨコハマ、大好きネ」
ジョージさんの言葉に、胸が熱くなりました。これぞ、港町のバーですよね。
年月をかけて熟成された空間に、贅沢な時間が流れています。
最後に、藤原さんに関内について伺いました。
「関内も生活感があるまちだと思います。今はちょっと中途半端になっているけど、古いヨコハマの良さを、若い人たちにも知ってもらえたら嬉しい。」
藤原さんの素敵な笑顔、独特の空間、濃い人生の話、船乗りジョージさんのオーラ。
まるでギリシャやヨーロッパを船で旅しているような気分に浸ることができます。
料理を食べるなら、テーブル席。お酒やお話を楽しむならカウンター席。
シーンに応じて、ぜひ足を運んでみてくださいね!
Shop info/店舗情報
- オリンピア
- 住所
- 横浜市中区太田町2-30 みどりビル1F
- 営業時間
- 17:00~23:00 (LO.22:30)
- 定休日
- 日曜(連休の場合は最終日) 年末年始
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