- 関内・伊勢佐木町
- カフェ・喫茶バー・バル
あらいきよてる
横浜に詳しいソーシャルデベロッパー。神奈川宿の丘の上で、住宅型複合施設「しぇあひるずヨコハマ」運営 。近年は空き物件や商店街の活性化など、横浜市内外のまちづくりや地域プロモーションにも関わる。週末カメラマン。二児の父でアニメ・サブカル好き。
同じライターの記事一覧関内と言えば、港町らしいオシャレなレストラン、サラリーマンのオアシス的な居酒屋、小料理屋が多いイメージだが、高級クラブやショーパブなど「夜の店」が多いのも特徴だったりする。
おそらく、コロナで最も打撃を受け、数を減らしたと思われるのが「夜の店」だろう。
関内の場合は、地方に比べるとまだ人通りがあるので、コロナが少し落ちついてきた頃から、高級クラブやパブに変わって、ガールズバーが急激に増えた。居抜きを使えば初期費用が抑えられるし、営業許可が取りやすいからだ。
それを否定するつもりはないし、空き物件のままになっているよりはるかにマシだと思う。
ただし、そういった店が増えることで、関内の魅力がアップするかというと正直厳しい。
「Bar黒月」は、コロナが猛威をふるい始めた2020年の夏にオープンした。
ちょうど私が商店街活性化などの一環で、コロナで激変したまちを自主的にリサーチしていたとき見つけ、思い切って入った店だった。
コンカフェとライブハウスを融合させ、さらに「レトロフューチャーなサイバー空間」という世界観を作ることで、新しいお客さんが集まる場所になっていることに勇気をもらった。
クラシック、ジャズはもちろん、ロックやポップいろんな音楽が楽しめるまちというのは、実に関内らしい。
オーナーの矢口優太さんは、もともと音楽系イベントの企画制作の仕事をしており、店内には本格的なDJブースがあるほか、メジャーインディーズ問わず、国内外のアーティストさんとつながりが深い。
コロナ第6波によっていよいよ経営が厳しくなったとき、「メイド要素」を取り入れて生き残りを図ったのも、それなりの覚悟なくして、なかなか決断できることではなかった。
現在はその戦略が功を奏し、インバウンドのお客様からも支持される人気店となった。
「ご飯がやお酒が美味しいのは当たり前。目指すのは大人の遊園地。」
お店の破天荒なテンションとは異なり、矢口さんはいたって真面目。
山形県の出身で、地元に対する思いも強い。メニューに山形で実際に自分たちで作っているオリジナルクラフトビールや山形のウイスキー、焼酎など種類が豊富なのも納得である。
キャストさんとも経営会議を開き、キャスティング、イベント企画、PR方法、あらゆる方面で常に進化をし続けている。移転に伴う新店舗の空間デザインにも余念がないし、キャストさんも、現店長・総長のるいんちゃん(元アイドル)や、現役のスーパーDJ、パフォーマーなど、その辺のガールズバーやコンカフェとはレベルが全然違う。
そんなハイクオリティな「Bar黒月」の料金はさぞ高いのかと思いきや、時間ごとに課金される一般的なコンカフェとは違い、1100円のチャージで無制限に楽しむことができる。しかも、カラオケ・ダーツ付き!
さらに驚くべきことに、「Bar黒月」は、現役メイドとして柏店の現場に立ちながら、統括マネージャーとして二店舗を管理するムンヒジュさんと夫婦で始めたお店であり、異例の家族経営のコンカフェということ。
矢口さんのSNSアカウントでは、自らを「DJ子連れ狼」と名乗っているが、娘さんを育てる父と母の一面ものぞかせる。実際に、娘さんがお店に訪れて、常連さんやアーティストさんと一緒に過ごすこともあるのだ。
「Bar黒月」には、イベントに合わせて車で2時間以上かけてくる人や、香港の業界のVIPなど、実に多様な人が集まってくる。音楽とかメイドには一切興味がないという人でも、煮干し油が香るオリジナルラーメンを是非味わってほしい。それだけも来店する価値がある。
都心やみなとみらいでなく、わざわざ関内に来る理由は何か?
その大きなヒントはここ「Bar黒月」にあり。
Shop info/店舗情報
- 不良メイド喫茶・Bar黒月横浜本店
- 住所
- 神奈川県 横浜市中区相生町5-79-3 ベルビル馬車道4F
- 営業時間
- 平日・金土 19時〜LAST 日祝 18時〜LAST