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愛着あるまち石川町で30年「AMERICAN’S BAR PARTY ANIMALS」藤田敏克さん
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    小林 璃代子

    小林 璃代子

    2000年生まれ、横浜育ち。 横浜市立大学で社会学を学ぶ大学生。人と人がつながるきっかけや受け継がれるものに興味を持ち、冊子制作、イベント企画などをおこなう。高校時代に商店街の人びとに惚れこみ、ローカルフリーマガジン「いきな下町商店街」を制作。現在は実験的な場づくりや地域のアーカイブをおこなう学生団体「下町編集室OKASHI」の代表として横浜橋通商店街を拠点に横浜の下町の楽しみ方を発信している。吉田新田が好き。

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    独自の下町文化と異国文化が混ざりあい、時間をかけて作り上げられてきた石川町のまち。現在ではそのゆるりと漂う寛容性のようなものに惹かれてか、個性豊かな若手のオーナーが新しいお店を開業する動きも高まってきました。

    まちなかでの立ち話は日常茶飯事。なんだか楽しそうなことを企画している大人たちが、協力し合ってそれを実現させるために話しあい、夜になれば店主同士がそれぞれのお店に行ってお酒を酌み交わす。そこでは住人である、店長である、というような地域での肩書きや、世代の違いをときおり飛び越え、ただ共にその時間を楽しんでいるというような印象がある。この一言では言い表せない、石川町の魅力をどう伝えたらいいのでしょう。

    今回インタビューをさせていただいたのは、石川町で30年続く「AMERICAN’S BAR PARTY ANIMALS」の2代目店主であり、石川町の一大イベント「裏フェス」の主催などをおこなう「石川町活性化委員会」の会長も務められている、藤田敏克さんです。

    本場のアメリカ文化を髣髴とさせる心躍る店内で、藤田さんのこれまでについてお店や石川町との関わりを交えながらお話いただきました!

    PARTY ANIMALSとの出会い

    「30年前、まだ僕が21歳の時に縁あってこのお店で働き始めました。当時は山下町の他のお店で働いていたのですが、縁があり誘ってもらい、勉強になるなと思って。

    ここをつくったオーナーは、もともと旅先で出会ったロサンゼルス郊外のバーに惚れて下積み後3年間バーテンダーを務め、日本に帰ってきてからこのお店を開業しました。

    80年代後半、やっとバーが浸透しはじめた頃の日本では、アメリカ仕込みのバーテンダーはまだかなり珍しかった。多種多様なフルーツを使って色が鮮やかなものを普通のグラスで飲むようなアメリカンスタイルで、バリエーション豊富なカクテルをいち早く提供していたので、一世を風靡していたんです」

    「アルバイトとして入って数年経った頃、オーナーから正規雇用でやってもらえないかという話があり、社員として働き始めました。

    その時には近辺で3店舗構えていたので、まずはここ石川町で3年半、そのあと横浜スタジアム前に約4年半、横浜駅西口にも約3年居て、また石川町に戻ってきました。年をとって独立を考えはじめ、いろいろ見てみたのですが、やはりここが原点であり一番根付いていたんですよね。長年親しんだ、好きな街。だめもとで自分に引き継がせてもらえないかと交渉してみたんです。それで2014年に引き継がせてもらい、屋号や内装、スタイルは変えずに今日まで続けています」

    ヨコのつながりと独自の文化

    「やっぱり、石川町は飲食店同士のヨコのつながり、ネットワークがすごいですよね。

    若い頃は先輩のバーテンダーに『よその店行って飲んで勉強してこい』とよく言われていました。

    お互いにお酒を酌み交わしながら、お店の雰囲気やバーテンダーさんの動き、接客を見て勉強する。稼いだお金で飲みに行く。そういうお互いの店を行き来して飲み歩くような文化が昔から根付いているのかもしれません」

    ”下町” としての石川町

    「いまでこそ裏通りから表通りまで多種多様な飲食店が軒並みを揃えているけれど、30年前はバーなんてここと一軒くらいしかなかったんですよ。一歩山をあがれば日本有数の高級な住宅地、川を渡れば三大ドヤ街、その中間地点の石川町にはやはり独特な文化と雰囲気があるんです。

    ここは下町。当時はまだ問屋、電気屋、クリーニング屋、八百屋、魚屋さんなどからなる一般的な昔ながらの商店街でした。それが次第に空き店舗になり、若い世代が入ってきて飲食店を開業、ゆっくりと世代交代がされて今の状態になってきました。歴史をみていて面白いなと思います」

    裏フェス

    「そのような流れの中で、せっかくだから何かやろうよと始まったのが裏フェスでした。来店者を増やすのは企業努力だけれど、外来者を増やすのは一店舗では限りがある。オーナーが寄り集まってアイデアを出し合い、コトを起こせば外来者を増やすことができるのではないかと、フードイベントとして2014年にスタートしました」

    「裏フェスって、オーガナイザーは参加店舗のスタッフさん全員なんです。自分たちでいちから手作り。それぞれ自分のお店を持ちながらも、合間をぬって集まり一緒になって汗をかくというのが、すごく楽しかった。

    僕は初めは参加者として関わっていたのですが、2、3年経って組織づくりが必要になったときにすこし年齢が上でここでの商売も長かったので推薦を受け、裏フェスの主催をはじめ石川町のこれからを考えていく場『石川町活性化委員会』の会長を務めることになりました。土俵は同じ、みんな平等ですが!」

    石川町の変化

    「なんというか、サブカル的になってきましたね。オーナーの個性を活かしたお店が増えてきたなと思います。それまで培われた感性でお店をやるから面白いです。

    半住宅地域であり半商業地域なので共生していくことは大事ですが、基本的に石川町って自由。お酒が切れたときやお釣りがないとき、近くのお店同士で貸し借りをしたりもするんですよ」

    「ただこのコロナ禍の2年間は飲食店も大打撃を受け、それぞれ工夫をして耐えていました。油断は出来ないですが、稼働できていなかった分、これからいろいろと出来たらと思っています」

    ちなみに、パーティーアニマルズの名前の由来って…?

    「もとのオーナーがアメリカでバーテンダーをやっていた時に『お前はパーティーアニマルだな、お祭り好きだな』と向こうの人たちに言われていたのが由来です。バーテンダーになるまでは苦労をたくさん経験したと聞いていますが、まわりの人たちによく気に入られていたそうです」

    「石川町には横須賀や根岸の米軍住宅などからも外人さんのお客さんが多かった。彼らからするとツボらしいですね、『パーティーアニマルズ』という言葉が。(笑)」

    これまでの文化や創業オーナーの ”アメリカでの記憶 ”を引き継ぎながらも、愛着ある石川町を盛り上げようと商い、活動し続けている藤田さん。

    そして小さなものから大きなものまで、人びとの「パーティ」の様子が浮かび上がってくるような、使い込まれ、磨かれた店内の家具たち。

    時代も、「パーティー」のかたちも変われど、守りながら新しくしていく。

    石川町に感じる、生きた下町の魅力とあのカッコよさが凝縮されたような空間!「PARTY ANIMALS」で、是非実際に体感してみてください!

    ちなみにマスター藤田さんの好きなことは、サーフィンと読書みたいですよ。お話してみてくださいね!

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    ヨコハマフードラバーズ装飾
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