- 関内・伊勢佐木町
- バー・バル
小林 璃代子
2000年生まれ、横浜育ち。 横浜市立大学で社会学を学ぶ大学生。人と人がつながるきっかけや受け継がれるものに興味を持ち、冊子制作、イベント企画などをおこなう。高校時代に商店街の人びとに惚れこみ、ローカルフリーマガジン「いきな下町商店街」を制作。現在は実験的な場づくりや地域のアーカイブをおこなう学生団体「下町編集室OKASHI」の代表として横浜橋通商店街を拠点に横浜の下町の楽しみ方を発信している。吉田新田が好き。
同じライターの記事一覧関内弁天通3丁目、弁三ビル2階。このあたり特有の「防火帯建築」の一つで、どしんと構える野生なオーラに魅了される。「裏口」の扉から入り、細い階段を登ると、オレンジの照明に青いネオン、シーシャの煙がキラキラと光る。ソファー席ではゆったりプライベートに、カウンター席では馴染みのお客さんがスタッフとの会話を楽しむ。そんな、アットホームでワンランク上の、非日常空間が広がっている。
「Blue Shisha Lounge 関内/馬車道店」を経営するのは、荻原俊秀さん。美容師をされながら、シーシャ屋を野毛と関内の2店舗を経営。最近では「汐汲坂のクレープ屋さん」も美容室の一角で開業。さまざまな一面がありながらも、どれもに荻原さんカラーが滲み出ていて、唯一無二のオリジナルブランドというような、雰囲気がある。どうこの空間がつくられているのか、また、今後の展望などについてお話を伺った。
「都内でシーシャが流行っていて、好きになって、全国にあるようなシーシャ屋さんが横浜に来る前に、横浜オリジナルのシーシャ屋さんができたらいいなと」
もともと8年前から野毛でBARやはちみつ屋をされていた繋がりから、空きテナントに「Blue Shisha Bar」を2022年9月に開業。その後、このビルと出会い、関内に2023年7月に2号店をオープン。
「古民家・隠れ家みたいなシーシャ屋さんをやりたいなと思って。音楽がガンガンかかっていてギラギラしているようなところではなく、カフェみたいなシーシャをやりたかったので、改装したら可愛いんじゃないかなって」
「不動産情報を見るの好きで、ずっと見ていたら、弁天通のここが出てきて。なんだここって。こういう秘密基地みたいなところが好きなので、見たいなと思ってその日に不動産屋さん電話して。こんな入り口、大好きで、ハッてなって、その日のうちに申込みしました。正直、この建物ありき、って感じ」
建物への惚れポイントが、活かされた、空間デザインが本当に素敵。
「正直、大していじくっていないんですよ。古いのを古いまま。個人的に、照明が好きなんですよね。照明が活きるような、露骨な感じと可愛い感じがあったらいいなって。カウンターとかも左右非対称なんですよ。わざとそういうふうに作ってもらって。幅とかもいい加減。不思議な空間にしたい」
フレーバーやカクテルシーシャなど、味のこだわりもかなり深い。
来るお客さんは、基本的にはシーシャが好きな人。しかし、まだ横浜には「文化」としての馴染みは薄いと体感されているのだとか。Blue Shishaのおすすめは「パンラズナ」。どこか美容室帰りのあの香りのような、爽やかでほのかに甘く、スモークさもある、癖になる味。
「初めてきてこれどうですかって勧めるお店はあまりない。でも、これを勧めた方が面白いんじゃないかなって。これは野毛のお店も、ここも、こだわっていて。フレーバーのメニューの一番上に書いています」
「あとは、カクテルシーシャ。お酒を入れて、カクテルみたいにシーシャを作るのをこだわってやっています。おすすめは、クラフトジン。すごく香りが華やいでくれる。横浜の人が好きな、横浜のカクテルでジャクターってあるんですけど、カクテルを作って、ライムのフレーバーをすうんですよ、それもいいですし、あと玄人だとラフロイズっていう香りの強いスモーキーなウイスキーのカクテルシーシャも」
今日は「チェリーパイ」みたいなイメージで、と作っていただいたシーシャに、ウイスキーを追加いただいた。はじめはバニラなど甘さが舌を駆け抜け、少し遅れて、奥深さの香りにスモーキーウイスキーがすーっとくる。これか…。いい香りのお手拭きと、おつまみのチョコと、クラフトジンと。五感で満たされていく…
ー なんか、ひとりでくるの、いいですね。
「いや、僕はね、それが理想なんですよ。女の人がひとりでも来れるBARっていうのが、コンセプトで。ひとりでも安心していけるお店」
ノンニコチンのフレーバーや、カフェ&バーだけの利用も可能。シェアチャージはなし。
シーシャは3000円。ドリンクは580円から。
ー これからどう、温めていきたいなとかありますか?場所とか文化とか。
「ご飯食べて、もうちょっと会話したい時あるじゃないですか。そういう時に、ゆったりのんびり会話しながら、シーシャをすう。夜のカフェみたいなイメージで使ってもらえたらと思います。横浜市内で2店舗出しているお店はうちしかないので、横浜のローカルブランドとして確立したいっていう思いはありますね。横浜の人がシーシャを面白いね、楽しいねって、シーシャって遊びをやってもらうような文化を作れたらなと思います」
ちなみに、横浜出身の荻原さん。19歳で元町の美容室に就職され、当時から「遊び場」はやはり桜木町から石川町、特に関内・石川町だったのだとか。
「クラブ行ったりお酒飲んだり。良くも悪くも横浜は、どこに行っても知り合いがいるみたいな感じが面白いですね。東京だとないですよ。桜木町から石川町の間、そこがやっぱりほんとの横浜だと思う。若い子も関内で遊んでほしいなって。ありますね」
すこし前の横浜の、夜の盛り上がりや酒場文化と、現代のしっとりおしゃれさが融合されたこの空間。繊細なキラキラ感と、古民家アットホームな心地よさ。粋なフレーバーとカジュアルさ。仕事帰りにカウンターで会話をしながらまったりしたり、デートだったり、もちろん、ひとりでも。暮らしのそばで、少し華やぐ横浜のこれからの夜の愉しみ方に、ぜひ実際に触れてみてください。
Shop info/店舗情報
- Blue Shisha Lounge 関内/馬車道店
- 住所
- 神奈川県横浜市中区弁天通3丁目4−8 弁三ビル2階3号室
- 営業時間
- 月曜〜木曜 20:00-24:00 金土休前日 20:00-26:00
- 定休日
- 日曜祝日 (不定休のため、Instagram@blue_shishabar2 ストーリー要確認)
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