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食いしん坊の意地をみせたい「クラフトバル・ココペリ」小橋純一さん・今日子さん
LOVERsライター
佐々木延江(ササノエル)

佐々木延江(ササノエル)

ライター、ジャーナリスト。パラスポーツを伝えるファンのメディア「パラフォト」(国際障害者スポーツ写真連絡協議会)代表。2000年シドニー大会から夏・冬のパラリンピックをNPOメディアのチームで取材。パラアスリートの感性や現地観戦・交流によるインスピレーションでパラスポーツの街づくりが進むことを願っている。

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 「トンネルのこっち側」地元の人がそう口にする本牧通りの入り口、その麦田のトンネルを本牧に向かって出たすぐ左手に「クラフトバル・ココペリ」があります。なんともひっそりとした佇まいのお店には、そこに集う人間たちを見守るように、笛を吹く豊穣の神ココペリが棲み着いているのです。

 「クラフトバル」は造語で、クラフトビールの意味と同時に「手づくり感」をイメージしています。簡単にいうと、お酒と創作料理、そこへの思いを胸に刻んだシェフのプライドが込められています。

エンチラーダと3種類のクラフトビール飲み比べセット しんなりとした柔らかい生地で豆と鶏肉を包み、ピリ辛のトマトソースをかけた本格メキシカン。ビールと合う一品として作ってくれました。

 クラフトバル・ココペリでは、週替わりでクラフトビールの樽を守りながら、おすすめの日本酒やワインも揃えています。料理はフレンチをベースにしていますが、和・洋・中華、アジアンなど、何でもとりいれた自由な創作料理です。

麦田町のリビング・ダイニングルーム

 シェフの小橋純一さんと奥さんの今日子さんがココペリを始めて7年になります。
 純一さんは、お酒が好きで20代から酒場で働き、お酒を出す店をやるつもりでしたが、バブル崩壊のなか、これからはお酒だけよりも料理があった方が良いと判断し、30代で方向修正、フレンチの修行をしながらお酒に合う料理を出す店を目指しました。

 純一さんが40代後半になり、チャンスを見極め二人は2016年に麦田町でクラフトバル・ココペリをオープンしました。

シェフの小橋純一さんとホールを担当する奥さんの今日子さん。

 目指していたスタイルは「小橋家のリビング」。お客さんが遊びに来てくれ、ここを介して仲良くなってくれたり、リラックスしてもらいたい。そう話していたね、と振り返る二人。

 「今は、ほぼやりたかった通りになっています」という純一さんは口数は少ないですが、一筋に夢をかなえる芯の強い料理人です。

 「(純一さんが)ずっとやりたかったことだし、スタッフも雇えないだろうから(笑)一緒にやることにしました」と、今日子さん。サラリーマンの生活のほうが安定するのではと不安があったそうですが、いまはいつ訪れても二人の息はピッタリです。今日子さんはキッチンから運ぶ純一さんの料理を丁寧に説明してくれます。

自然体でのつながりを大切に

 「ご近所さんは適度な距離感を持ってくれ、挨拶の掛け合いもあります。お客さんや地域の人にとても恵まれています」と、今日子さん。地域の人がお客さんとして来てくれ、お店がオープンしてからこれまで初心をつらぬき続けることができたのが、クラフトバル・ココペリなのです。

 話を聞いていくと、二人は休日、お客さんから聞いたうわさのお店の食べ歩き、クラフトビールのイベントがあればココペリ・ツアーを企画してお客さんと連れ立って行くなど、料理の勉強や店の運営に大事なことをまるで趣味のように楽しみ、自然にこなしています。

 また、コロナ禍でスポーツジムやプールが休業になると、屋外でできるということでテニスコートを予約、ココペリ・テニス部もお客さんらと2年前に立ち上げ、週1回のペースで体力・健康づくりにも励んでいます。

ランチメニューについてくる「前菜の盛り合わせ」は、見た目の可愛さと季節の味の両方が楽しめます。

 さらに、SNSに、飼い猫で営業部長の「のりまき」の写真が掲載されると、猫好きなお客さんからの声かけが増えました。こんなふうに、食べ歩き、ビールツアー、テニス部、猫の話題などを介してお客さんに広まり、親しまれると同時に、営業時間以外の二人も地域の一員として、本牧通り、麦田町を中心に地域の暮らしを満喫していることが伝わってきました。

 ただ残念なことに、オープンからココペリを支えた大切な「のりまき」が、この3月に他界。二人は追悼のため1週間ほど店を休業にしていました。(この取材は二人が営業再開するのを待って行いました)

喜ばせたい感・満載のランチの秘密は・・

 日々のランチはわりと大人の女性に人気があります。夜になると、20代以上の幅広い世代の男女がお酒と食事に訪れ、工夫のこもった味わいに癒されるひと時を楽しんでいます。初めての皆さんはまずランチを食べに行ってみてはいかがでしょうか。

ビスクヌードル 創作料理というにふさわしい筆者のおすすめのランチメニュー。大きなエビは注文が入ってからオーブンでローストしている。サクサクで頭から尻尾まで食べられる。ヌードルを味わったあとは、パンでスープを拭って食べてほしい。

煮込みハンバーグ 定番のランチメニュー。ナイフをさすと崩れてしまうので、スプーンで食べてもよいかもしれない。卵の繋ぎを少なくしたふわふわ、トロトロのハンバーグがソースと一体になって口に広がる。こくのあるソースにライスをオンして食べるのもグッド。

 「自分たちが食いしん坊なので、あ〜もの足りないとは言われたくないんです。見た目も、味も、満足して帰ってもらいたい。もちろん、どんな食べ方でも良いですし、歯のご事情とかで食べられない方はいらっしゃいますが、エビの殻やソースまできれいに食べてくれたお皿を見ると、やっぱり、やったぞ!って、達成感で嬉しくなりますね」と、今日子さんは喜びを語ってくれ、そんな今日子さんに純一シェフもニコニコと頷いていました。

店内、カウンター席

お酒のメニュー

毎年11月には、オープン記念の周年ビールを提供しています。

(写真・取材協力 森田和彦)

Shop info店舗情報

クラフトバル ココペリ
住所
横浜市中区麦田町1-35-1
営業時間
ランチ 火.水.金.土.日 11:00〜14:00L.O(15:00closed) ディナー 17:00〜21:00L.O(22:00closed)
定休日
月・木
備考
アクセス:JR石川町駅より徒歩9分 席数:カウンター6席、テーブル4名1席、2名2席 お支払方法:現金またはクレジットカードが使えます。
ヨコハマフードラバーズ装飾
ヨコハマフードラバーズ装飾
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