石川町と言えば、JR根岸線の駅で北口は中華街、南口は元町という、横浜屈指の観光名所の玄関口として知られるまちですが、石川町自体のお店やスポットを知っている人はどの位いらっしゃるでしょうか。

実は、石川町の南口には複数の商店街が存在し、それぞれの通りに、昔ながらの焼肉店や居酒屋に、オシャレなカフェやパン屋、それから多国籍なレストラン、カジュアルなバーなど、多くの個性溢れる店が集まっているのが特徴です。

そんな石川町を語る上で、欠かすことができない人物が、「HanaUta cafe」の店長であり、

「石川町ひらがな商店街ウエストアベニュー」の会長を務める、飯田峰子さんです。
もともとアパレルの「BEAMS」で勤務したあと、「ZOULI cafe」という本格的料理とお酒を提供するカフェバーで、飲食店マネジメントを経験した飯田さんは、出産を機に独立して、2012年、娘さんが1歳のときに「HanaUta cafe」をオープンさせました。

子育て真っ最中だったこともあり、店内は子供連れが優先の座敷スペースが設けられ、メニューもママに嬉しい日替わり惣菜やお弁当がメインとなっています。

お野菜たっぷりのランチプレート。豆腐ハンバーグもヘルシーで絶妙な味です。店舗の空間も、子どもと一緒にくつろげるように、かわいい絵が描いてあったり、絵本がおいてあったりと、至るところに工夫が見受けられます。

地元のファミリーだけでなく、横浜市内で活動している子育てグループのママたちの間でも人気で、コミュニティースペースのような役割も果たしています。

また、べーカリーのテイクアウトも魅力です。ジャムなども一緒に販売していて、お店に入った瞬間にほっこり温かい気持ちになれます。

また飯田さんは「Market Terrace cafe」という、より石川町駅に近い場所にあるカフェレストランの運営にも携わっています。こちらも、若い人から高齢者まで、多世代がワイワイするためコミュニティカフェで、キッシュとクラフトビールがお店の看板商品です。店内には、地域密着型を思わせるグッズやポスターなどもあり、さながら石川町のアンテナショップという感じ。

しかも、こちらの「Market Terrace cafe」では、近くのゲストハウスのフロント機能も有しているというのが驚きです。実は、飯田さんは2014年から「裏フェス」という大規模なイベントの立ち上げに携わったことで、単なるカフェ経営からイベント運営者となり、近年は「石川町ひらがな商店街ウエストアベニュー」の会長として、広くまちづくりに携わっています。「裏フェス」を実施しようと動いた背景には、みなとみらい線の開業によって、今後石川町駅の地位が低下してしまうという危機感があったそう。

こちらの写真は、何とコワーキングスペース！　知らないうちに、石川町にゲストハウスやコワーキングスペース、ブック＆ランドリーまで出来ていたことに衝撃を受けました。飯田さんのパワフルさは何と表現してよいか分かりません。

ただ、お話を伺っていて感じたのは、事業拡大とか先客万来を狙っているのではなく、「まちにあったら良いな。」と思うものを無理のない範囲で運営しているということ。観光地としての中華街や元町に張り合うのはなく、自分たちの暮らしに合ったまちを、自分たちの手で育てていこうという「等身大」のスタンスなのです。

飯田さんがカフェ経営などを通じて、一貫して大切にしていることがあります。それは、

「必ず注文のやり取り以外の会話をする」ということ。外を通りかかって看板を見ているお客様とも挨拶や営業以外の会話をするよう心がけています。また、食べ物を取り扱うことで、お客様の好みや体調が分かるようになったことも、コミュニケーションを取る上で大きいそうです。

「なぜ、そこまで頑張れるのですか？」という質問に対し、飯田さんは「まちに対して恩返しをしたいんです！」と笑顔で応えてくださいました。もともと育った山形から横浜に出てきたとき、大学でそれほど交流ができず、寂しさを感じていたときに救ってくれたのが石川町にいる人たちの温かさだったとのこと。まちとそこで暮らす人への愛を感じられる素敵なお話が聞けて幸せな気持ちです。みなさんも、是非飯田さんに会いにいってくださいね！

HanaUta cafeの商品はNEWPORTでオーダーできます。

HanaUta cafe NEWPORT店