- 元町・石川町
- 居酒屋・小料理和食
小林 璃代子
2000年生まれ、横浜育ち。 横浜市立大学で社会学を学ぶ大学生。人と人がつながるきっかけや受け継がれるものに興味を持ち、冊子制作、イベント企画などをおこなう。高校時代に商店街の人びとに惚れこみ、ローカルフリーマガジン「いきな下町商店街」を制作。現在は実験的な場づくりや地域のアーカイブをおこなう学生団体「下町編集室OKASHI」の代表として横浜橋通商店街を拠点に横浜の下町の楽しみ方を発信している。吉田新田が好き。
同じライターの記事一覧石川町二丁目の裏道にひっそりとたたずむ「お好み焼き すずや」。
日が暮れるころに灯る、オレンジ色の明かりが素敵です。
店長の佐藤晃一さんは、すずや周辺に広がる「ひらがな商店街」の会長も務められており、石川町をエリアとしてもっと盛り上げていくためのイベント企画運営や、地域でやりたいことがある人のサポートなどをおこなっており、7年前にはじまった「裏フェス」の発起人のおひとりでもあります。
そんな石川町のキーパーソン・佐藤さんに会いに、周辺の飲食店オーナーをはじめまちの人たちが集まるこのお店。お好み焼きも絶品!!一見さんも、常連さんも楽しめます。
石川町独特の飲食店文化を交え、佐藤さんのこれまでとこれからについて、お好み焼きを焼いていただきつつ…お話をお伺いしました!
お店を開業したきっかけ
「十数年前に古本屋が閉店して空き店舗になったこの場所でお店を始めました。もともとは野毛の出身で、家のすぐ裏にあったお好み焼き屋によく行っていたのを覚えていたからお好み焼きを。開業するときには大阪のお店で修行をしました」
「お客さんは地元の常連さんが多いです。来るのは『おひとり』なんだけど、『みんな』なんだよね。夜遅い時間までやっているので、仕事終わりの飲食店のマスターがお客さんを連れて来てくれたりしています」
佐藤さんにとって石川町とは
「みんな仲がいい。あそこ美味しいよ、誰々に聞いたよとか、そんなコミュニケーションをよくとっていますね。
2015年に「裏フェス」(飲食店や雑貨屋が出店、ライブやフリーマーケットなども同時開催する地域イベント)をやりはじめてから、お店同士の横のつながりが強くなり、交流が増えました。
石川町は家賃もすこし安いからお店を持てる年齢層も少し低め。知り合い出したら同年代だったりもして、つながりやすいんです」
「裏フェス」がはじまった経緯
「きっかけは、立ち話だね。商店街の会長さんとか周辺のお店の店主とかと近くにいるからよく話をしていて、『ちょっとなんかやろうぜ』となった」
「最初は石川町をにぎやかにしよう、人に来てもらおうという、それだけでやりました。自分たちがそれぞれ持っているものを出し合って開催、出店は20店舗くらいでした。それがあんなにお客さんが来てくれるとは思わなかったね。今年で7年目になります。
一緒に活動している人たちは、各々個性があるので、それぞれ役割を持って動いています。『私はこっちをやるから、それはお願い』みたいに、それぞれのところをその人のできるものでやっています」
野毛と石川町
「親が野毛で美容院をやっていて、小さいころはお店の玄関でよく外を見ていたけど人通りがすごかった。よく周りでお店をやっている人たちとお昼を食べたりしていました。横のつながりが当時は本当にすごかった。閉店が続いてもうだめだなというところで、ここ15年くらいかな、若いお客さんが増えてきて一気に変わりました」
「石川町もすこし似ていて、ここ10年くらいで変わってきた。同世代で飲み屋さんをハシゴしたりする感じもあるしね。
でも下町感は石川町のほうがあるかもしれない。細長いのでお店自体の数は少ないけれど、もっと外からいろいろな人に来てもらえたら嬉しいな。お店が増えた方が魅力がますだろうし」
これからのこと
「石川町は、とにかく高齢化率が高い。若い世代がまちでやりたいと思うことをやらせてあげられたら一番いいなと思っています。みんな面白いことは考えているのですが、実現させるためにはうまくやらないとできないこともあるので。僕はあまり声を出さないからさ。(笑)
まちの人たちとコミュニケーションをとりながら、やりたいことがある人が、やりやすい環境を作ってあげたいです」
「…食べてね!」
食欲そそる、すずやのお好み焼き。
できる過程を楽しみ、鉄板を囲んで、分けて、食べる。
お話をしながらつながる場。石川町の魅力の本質がここにつまっているような印象を受けました。
佐藤さんの野毛での記憶や、石川町への思いがつまったこだわりのお好み焼きを、ぜひ堪能してみてくださいね!
Shop info/店舗情報
- ひらがな商店街HP店舗紹介「お好み焼き すずや」
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