- 関内・伊勢佐木町
- 居酒屋・小料理
Yuta Takaura
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「料理メインではなく、お客さん同士が会いに来る居酒屋」
店主の稲葉さんはそう語った。
「吞場ずずず」では新鮮な海鮮料理を中心に、旬のメニューを提供しており、なんと、ほぼ毎日メニューが変わるという。(固定メニューあり)
今回、私は「名物おばんざい」「お刺身ちょい盛り」「鶏からあげ」「明太子炙り」の計4点を注文した。
先に感想を述べておくと、全部美味しかった。
鶏のからあげに関しては、レモンではなく旬のスダチを使用するという徹底ぶり。
稲葉さんの拘りを象徴する1品だった。
ちなみに、私のオススメは明太子炙り。
明太子のほど良い塩味と、焦げの香ばしい香りが鼻腔を優しく刺激し、包み込む。
呑兵衛にはたまらない1品となっている。
JR根岸線関内駅北口から徒歩4分という好立地に店舗を構えている「呑場ずずず」は開業から4年目を迎えている。
以前、この場所には「愛媛酒場えにし」という居酒屋があり、店主の稲葉さんもリピーターだった。(えにしは2018年に吉田町へと移転し、現在も営業中である。)
当時、空き店舗を探していた稲葉さんは、えにしの移転をきっかけに、この場所にお店を構えることを決意した。
「かつて、関内で一番盛り上がっていたこの場所で、お店を開きたかった」
稲葉さんは力強く、そう語った。
稲葉さんは17歳から始めた飲食店のアルバイトをきっかけに、飲食店開業への道のりを歩むことになる。
とくに、大学時代はアルバイトに没頭しており、月に26万円を稼いでいたというのだから驚きだ。
私が思わず「26万!?凄いですね(笑)」と言うと「全然誇らしいことじゃないし、学業そっちのけだったので、当然親はブチ切れてました(笑)」と苦笑する稲葉さん。
そんな忍耐力と行動力を兼ね備えた男前な稲葉さんは、小学校から高校にかけてサッカー部に所属していたという。ちなみに、ポジションはサイド(MFやFW)を任されていたそうだ。
稲葉さんのぶっ飛びエピソードはこれだけではない。
飲食の道に目覚めた稲葉さんは、大学を中退した後もアルバイトを続けた。
居酒屋のみならず、会社のコンサルや百貨店のデパ地下の店長など、複数の仕事を掛け持ちし、様々な経験を積んだ。
そして、休みなく働いた結果、労働基準法もお手上げ、なんと脅威の400連勤を記録する。
しかも、稲葉さん自身が400連勤を望んで行ったという。
(当時の稲葉さんの最低睡眠時間は2時間)
私が冗談交じりで「稲葉さん若いから、もう一度400連勤いけるんじゃないですか?(笑)」と聞くと「無理無理!勘弁して!(笑)」と大きく首を横に振った。
さらに「それほどまでに稲葉さんを突き動かしたものはなんですか?」という質問に対しては「当時勤めていた会社の社長ですね、社長のことが大好きだから働いていました!」と、当時を懐かしむように振り返った。
元々独立をする意思がなかった稲葉さんが独立を決意したのも、この社長がきっかけだったという。
「若い時に様々な経験を積むことができたのは、恩人である社長のお陰です」と稲葉さんは語る。
そして、独立から8年が経過し、現在に至る。
最後に「呑場ずずず」のコンセプトについて伺うと、稲葉さんは「場づくりです」と答えた。
コロナ禍を経て、コミュニティの希薄化が進む中、このような飲食店は非常に需要があると私は感じている。
かつての関内の活気を取り戻すために「吞場ずずず」は今日も出会いの場を提供する。
Shop info/店舗情報
- 呑場 ずずず
- 住所
- 奈川県横浜市中区常盤町3-34 1F
- 営業時間
- 16:00 – 22:00 L.O. 21:30
- 定休日
- 水曜日